Kit 買い付け展01
2023/03/03
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[ 焼きもの ]

ロシア〜ソ連の統治下におかれた時代に窯が途絶えたり、銅を酸化させてつくる緑釉の伝統的な色絵が失われたりして、あまり土着の焼きものは残っていない。
そんな中で、カヘティ州の山岳部トゥシェティで焼かれていた小ぶりの盃・ピアラを中心にジョージアらしい焼きものを見つけた。
ビアラはワインを飲む土の盃だそうだ。
伝統的なジョージアのワインはクヴェブリと呼ばれる素焼きの壷を土中に埋め、その中でブドウを発酵させるのでわかるような気もする。
これらは80~100年くらい前のもので、赤土の無地のものもあれば緑釉で絵付けしたものもある。
どれも適当にさらっと描かれていて、子ども作であろうものも発見。
形がどれも深めで、口が広めで、なにせ薄づくりなところが良いのだ。重ねると、カサッといい音がする。かなーーーり好み。
::: [ 木のもの ]


ジョージアに住んで8年の友人によると、山林が少ないせいか良い木の道具があまりない気がするとのこと。西部アチャラ地方、北東トゥシェティ地方、カヘティ地方などの山岳部に木工が多いようだが、好みのものはひじょーに少なめ。
ああっこれは...と思うものはざっくりと大きくろくろで挽かれた木皿や鉢。ナイフの跡があったりするのでお皿兼用まな板といったところだろうか。銘木というわけではないがカラっとドライなものを選んだ。そして繊細な紋様を木彫した箱。どれも大きな存在感ながら薄づくりなのがライトでいい風通し。
バスケットにはよくヘーゼルナッツの木が使われる。農作物を収穫したり保存したりするためのものだが、花器にもなりそうなコーン状のバスケットはワインの漉し器。綺麗に染まった葡萄色のその先に... アルミ。
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[ アルミ ]
アルミといえば…
私が一番好きな金属である。
なぜかジョージアにはなにかとアルミものが多い。例えばソ連時代に多く製造されたアルミ鍋は種類が多く、サイズや蓋のデザインがバライティに富んでいる。ペラっとしている分、熱伝導が早くて気軽に使えて良い。とはいえ、ある程度綺麗な状態の鍋を探すのは難しくて今回は2つだけ。宿に持ち帰って小鍋でお米を炊いてみた。ちゃんと美味しく炊けるし、焦げ付かない。柔らかく手で加工しやすいアルミは扱い易いから、重宝されていたのかも?と勝手に推測している。
アルミの変わり種。
よく見るヘーゼルナッツのバスケットをそのままアルミで代用したもの。非常にバランス良く作られていて、やっぱり軽い、上手い。ジャガイモなど野菜収穫用と思われる。アルミ、代用品、バスケット。好きなものが詰まっている。
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[ ガラス ]
1950年代初期に多く生産された耐熱のゆらゆら吹きガラス。極ふつうなのだが幾つあっても良いやつ。
中には揺らぎすぎているものもあり、昔ゆえの個体差満載。トルコから伝わったチャイを飲むものらしく、本来はホルダーにセットして使う。
ロシアの優美なガラスは時々見かけるが、ジョージア由来はないなあ…と思っていたら、瓜形のガラスを見つけた。
大きなガラスはコンポートやリキュールの保存用であることが多い。どうして瓜形なのかはハテナだが、ジョージアのかたちは曲線を描いていても硬くて堂々カッコいい。
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[ ウール ]
毛織物で有名なトゥシェティ地方に住む山岳民族が寒さしのぎのために真冬は山を降りてきていると聞き、乗合いタクシーに乗って近くの村まで行ってみた。
行った先で、ふわふわ柔らかそうな原毛で編んだルームシューズや靴下を発見。
それらはパンキシ渓谷(チェチェン人の隠れ里)の羊で紡ぎ、編んだものらしい。
良さげな靴下ないかな〜とウロウロ。
ほどよく羊感が残る糸で編んだ靴下を見つけた。まだ羊のにおいが残っている。
小さな町工場で機械編みしているらしくやや薄手に編んである。
カーキ色がとんでもなく、好み。
旅の間じゅうタイツの上に二重で履いていた。ルンルン。
羊といえばコーカサスにも敷物があり、さまざまな民族のものが入り混じっている。トライバルラグの中では一見特徴がなく、人気のなさそうな、しかし私的好みのチェックや花柄の敷物を選択。
特にお気に入りはアゼルバイジャンの日除け。太陽を意味する模様の縁取りがしてあり、端中央に瞳らしき刺繍が施されている。このマークが劣化するとツキが落ちてしまうとか。
祈りのための装飾が効いていて、ちょうど良い。本来はものをつくる、表すという行為は形而上的なことなのかもしれないなあ...とふと思った。
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[ USSRとグルジア ]
樹脂のトレイとカトラリー。70年代トビリシに窯元があったという水玉の陶器。食卓に欠かせないブレッドバスケット。ハリネズミの灰皿。これらは2015年にジョージアと改名する以前のグルジアのもの。ソ連に統治される以前にはロシア帝国下におかれ、自国のものづくりの文化はこの流れの中で衰退したようだ。
種類も数もあまり残っていない中でグルジアものを見つけると嬉しい。
ソ連(USSR)の国々には共通して作られていた製品があるようで、それらを手に取ると「ソビエトユニオンのものだ」と教えてくれる。お隣のアルメニアに行った時も同じものが売られていた。
USSRものといえば。縫製工場跡から出たデッドストックの洋服を無種類か選んできた。鮮やかな色の花柄やドット、ストライプ。縫製は簡単なものだが、柄やかたちが可愛い。
ジョージア人は正教徒が多いお国柄か、黒が好きなイメージで「とりあえず黒」といった感じに無難に色を選んでいるような気がする。石造りの古い建築や街並みを大切に残していることもあり、街の風景には色が多くはない。意外にもこんなにも華やかで楽しい時代もあったのだなあ。
ジョージアにはソ連時代につくられた突出してアバンギャルドな建築が残っている。いま動いている鉄道もテレビ塔も当時のものだとか。 現代では建てられなさそうな奇抜でカッコいい建物が多く見どころの一つになっている気がするのだが、昨今の戦争のこともあり次々と取り壊す動きもあるようだ。 ロシア帝国〜ソ連時代は傷痕であり繁栄の記憶でもあると思うのだが、いまのジョージアのからだの一部であることもまた、現実。
植田楽 紙とセロハンテープでつくる生きものたち
2023/02/06
植田楽(うえだひらく)くんの当店での初展示が終わりました。
アトリエから歩いてこれるということで毎日在廊してくれた楽くんですが、時間のある時に手を動かし続けて新しい作品をつくってくれました。

紙は柔らかい半紙、部分的に硬い紙を使い分けて捏ねて芯をつくるので思ったよりギュッと詰まってます。セロハンやマジックも色々使ってきてこだわって選択しているそう。かれこれもう20年選手。一つのことを集中して続けていられるって凄いな、素敵だな、とそのエネルギーに感動し羨ましく思う毎日でした。
全国の皆さまに見ていただきたく、オンラインショップでも販売します。
全種類を実店舗でもご覧いただけますので、気になる方は店舗の方でお問い合わせください。
ご購入は<Kit ONLINE > 植田楽>から。
植田楽展のご案内は<こちら>から。

年末年始の営業・配送業務について
2022/12/20
12月25日(日)まで通常営業いたします。
26日(月)〜29日(木)休業
30日(金)営業(12:00 - 18:00)
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1月1日(日)〜6日(金)休業
7日(土)〜 通常営業
どうぞよろしくお願いいたします。
【通販発送について】 通販の発送は年内は 12月28日(水)のご注文分を持って終了させていただきます。 発送は12月30日(金)〜1月6日(金)の間、お休みさせていただきます。Even After 100 Years
2022/11/06









特にフラットカットされたダイヤはキラキラしすぎないし、形や厚みもいびつでバラバラ。そういう姿が自然で美しいと思った。そしてプラチナはこのダイヤを受け止めるのに一番相応しい貴金属だと思う。硬質な透明感があり素材をひき立ててくれる。すべてロンドンでしか入れられない品質保証の刻印が入っているのも嬉しい。ファッションの延長線上にある装飾品というよりは、ちょっとしたお守りみたいなもの。身の丈に合わなさそうな逸品が自分を引き上げてくれるような気がしていて、そういうものを身に付けて生きていたいと、この頃はそう思っている。
サウスアベニューのオーガニックジャスミン 入門編
2022/10/29

サウスアベニューは西荻窪の中国茶専門店(バライティーショップ的要素あり)です。通称サウスさん。
かれこれ20年くらいは継続して中国に買い付けに行かれていましたが、コロナ以後は遠隔でなんとか。それもこれも長年農家(僻地!)まで通い続け、家族同然だという通訳さんの存在とか信頼関係を築いてこられたからこそ。やはり続けるって大事だな、とサウスさんを見ているとつくづく思います。サウスさんではさまざまな品種の中国茶がお買い求めいただけますが、オーガニック・ジャスミンは看板にして開業のきっかけとなったお茶だそうです。
当店では毎年9月には新茶会と称して、ジャスミンの何種類かを飲み比べていただくという会を開催しています。
今年はコロナやら戦争やら世界情勢により遅れて10月開催となりました。それも1日だけの会でしたが、その後も継続して茶葉の販売をしています。
香りの塊みたいな針王AAA(超特級)は一口試飲をしていただけますので、ご希望の方はスタッフまで。
ところで、このような会をしていると「ジャスミン茶が苦手」という声をよく聞きます。そして代用茶(茶ではなく花)だと思われている方が多いのですが、そうではなく緑茶にジャスミンの香りをしみ込ませています。一般的には香料で香り付けしたものが多く、頭痛がするとか胸焼けがするとか、いろんな感想があるのですがそんなイメージを覆すお茶なので是非お試しいただきたいと思います。
福建省福州の畑で育てられたお茶を手摘みの新芽のみで緑茶に加工しています。そこに真夏の濃厚な香りのジャスミンの花を加え、一晩かけて緑茶に香りを移します。翌朝花を取り除き再び新しいジャスミン花を加え香りを重ねていきます。この作業を1週間ほど繰り返して完成します。 ベースに使われている緑茶は本来は体を冷やしますが、上質なジャスミン花のエキスがたっぷりとしみ込んでいるので体を中性に保ちます。朝一番に飲んでいただいても、気持ちよく体が受け入れてくれます。そして芳醇な香りは天然のアロマセラピーだなと思うのです。部屋中に幸せが満ちていきます。是非日常的にハッピータイムをお過ごし下さい〜。
飲み方は?というと意外と簡単です。熱湯を注ぎます。ポイントは量と時間を間違えないこと。
説明書は100℃100CCで抽出する設定です。肝心・絶対なのはお湯を注ぎ切ることです。専用の茶壺などがなくてもピッチャー(磁器か耐熱ガラスがおすすめ)などでも代用できます。(※上の図参照)
意外と抽出する秒数が少ないので、ご注意を。浸しっぱなしにするとえぐみが出てしまいます。慣れないうちは少し気を使いますが、コツを掴めば簡単。そうすると、長く茶葉を味わうことができます。1煎、2煎、3煎...と味は変化します。
当店では茶杯やピッチャー、茶壺などお茶にまつわる道具をご紹介することも少なくないのですが、基本的には淹れ方さえ守れば道具が揃っていなくても美味しくいただけます。日常的にお茶を楽しんでいただきたいので、リラックスしてまずは淹れてみて下さい。ご不明なことは店舗でスタッフになんでもお問い合わせください。
オンラインショップからもご購入いただけます。
ご購入は<こちら>から。
興味はあるが茶葉をどう選べば良いかまったく分からない、というお客様へ。一概には言えませんがこんなおすすめをしてみます。
・はじめてジャスミンを飲む → 針王
・ジャスミンの贅沢な香りを思いっきり感じたい → 針王AAA
・お菓子や料理とも合わせて楽しみたい → 小針 もしくは 珍珠王
・2袋目にもう1種選びたい → 銀針
・いろいろ飲み比べてみたい → 最高級ジャスミン茶のみくらべセット 3種



