買い付け展02
(珍1)バンダチ風石油コンテナ / セルロイドの折り畳みソバン

2024/03/08

珍品シリーズその1。
久しぶりにこれぞ...!と唸る面白いものを見つけました。非常に珍しいもので私がまた会いたかったもの、それは1930〜40年代に使用された石油コンテナ。2015年に偶然に幾つかこのコンテナを持っている業者に会い、仕入れることが出来たのですがどれも手づくりで仕様はバラバラ、その後見ることはありませんでした。特に状態が良く、バンダチ(収納棚)のかたちになっているのは更に珍しい。
当時の韓国で代表的な石油輸入配給機関であった朝鮮石油株式會社が代理店として扱っていた主要ブランド・ニューヨークスタンダード石油会社(New york standard Oil)の名がハングルで記されています。この会社は朝鮮戦争勃発後に撤退したようですが、その石油を積むコンテナとして使われいたもの。米軍政期(1945~48年)には街頭で靴磨きをする幼い少年家長たちがこのコンテナの中に道具を入れて通い、お客さんが来たら寝かせて脚置きにするという方法で使用するケースが多くあったそうです。子どもが持つには大きく重たい商売道具ですが、かつてそうした時代があったことを記憶する近代の遺産でもあるのです。


続いて輪花型のソバン。意外とこういうものこそ見つからないのですが...初めて見ました。需要があるかどうか不明ですが個人的にこういうHENなもの大歓迎。ソバンは台所でつくった食事を乗せ、そのまま居間に運んで床の上で食べるのに使った一人用のお膳です。現代の食卓ではソバンを日常的に使うことはほぼ無さそうですが、1960~70年代に簡易版として現れて一瞬で消えたもよう。セルロイドは燃え易いのでそのうち樹脂にとって代わられ、そういった意味でも長く活躍しなかった素材です。これは図らずも茶色でなんとなく木目調に見えなくないのも騙し絵的でクスっと笑ってしまいます。
珍品が好き。時代の隙間に代用品、副産物またはプロトタイプとして一瞬現れ、すぐ忘れ去られたもの。まさに時代を表す鏡であり、そういうものに魅力を感じてしまいます。

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